インフルエンザの予防と治療Q&A

インフルエンザにかからないためには、どうすればいいですか?

1. 流行前にワクチン接種

インフルエンザワクチンは、感染後に発症する可能性を低減させる効果と、発症した場合の重症化防止に有効と報告されており、日本でもワクチン接種をする方が増加する傾向にあります。

2. 飛沫感染対策をする

インフルエンザの主な感染経路は咳やくしゃみの際に口から発生される小さな水滴(飛沫)による飛沫感染です。したがって、飛沫を浴びないようにすればインフルエンザに感染する機会は大きく減少します。

ある程度、飛沫感染等を防ぐことができる不織布(ふしょくふ)製マスクを外出時に着用することは一つの防御策と考えられます。 

※不織布製マスクとは
不織布とは「織っていない布」という意味です。繊維あるいは糸等を織ったりせず、熱や化学的な作用によって接着させて布にしたもので、これを用いたマスクを不織布製マスクと言います。

マスクを付けるときのポイント

  • 鼻をしっかり覆う、ワイヤーが入っているタイプは鼻に合わせて曲げる。
  • 顎の下までマスクで覆う。

気づかないうちに感染を広げないように普段から咳エチケットを心がけましょう

たとえ感染していても、全く症状がなかったり、風邪のような症状のみでインフルエンザウイルスに感染していることに本人も周囲も気が付かないことも少なくありません。
普段から咳エチケットを心がけ、気づかないうちに感染を広げることのないようにしましょう。

  1. 普段から皆が咳エチケットを心がけ、咳やくしゃみを他の人に向けて発しない。
  2. 咳やくしゃみが出るときはできるだけマスクをする。
    とっさの咳やくしゃみの際にマスクがない場合は、ティッシュや腕の内側などで口と鼻を覆い、顔を他の人に向けない。
  3. 鼻汁・痰などを含んだティッシュはすぐにゴミ箱に捨て、手のひらで咳やくしゃみを受け止めた時はすぐに手を洗う。

3. 外出後の手洗い

流水・石鹸による手洗いは手指など体についたインフルエンザウイルスを物理的に除去するために有効な方法で、インフルエンザに限らず接触や飛沫感染などを感染経路とする感染症の対策の基本です。インフルエンザウイルスにはアルコール製剤による手指衛生も効果があります。

手洗いのポイント

  • 指先から手首にかけて、指の間や爪の先など
    すみずみまで30秒ほどかけて洗う
  • 洗った後は、清潔なタオルで手を拭く

4. 室内を適度な湿度(50~60%)に保つ

空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です。

5. 十分な休養とバランスの取れた栄養摂取

体の抵抗力を高めるために、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取を日ごろから心がけましょう。

6. 人混みや繁華街への外出を控える

インフルエンザが流行してきたら、特に御高齢の方や基礎疾患のある方、妊婦、体調の悪い方、睡眠不足の方は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。やむを得ず外出して人混みに入る可能性がある場合には、ある程度、飛沫感染等を防ぐことができる不織布(ふしょくふ)製マスクを着用することも一つの防御策になります。


インフルエンザにかかってしまったら、どうすればいいですか?

下記に注意しながら、安静にしましょう

  1. 具合が悪ければ早めに医療機関を受診しましょう。
  2. 安静にして、休養をとりましょう。特に、睡眠を十分にとることが大切です。
  3. 水分を十分に補給しましょう。お茶でもスープでも飲みたいもので結構です。 
  4. 咳やくしゃみ等の症状のある時は、周りの方へうつさないように、不織布製マスクを着用しましょう。 
  5. 人混みや繁華街への外出を控え、無理をして学校や職場等に行かないようにしましょう。

インフルエンザの検査は、発症後12時間から48時間前後が最適

最も一般的に普及している迅速診断キットによるインフルエンザの検査を受けるには、発症後12時間から48時間前後が最適と考えられています。反対に、発症から3日以上経過してしまうと、ウイルス量が徐々に減少しはじめ、キットに反応しなくなってしまう可能性があります。

薬の服用開始は発症から48時間以内に

抗インフルエンザウイルス薬の服用を適切な時期(発症から48時間以内)に開始すると、発熱期間は通常1~2日間短縮され、鼻やのどからのウイルス排出量も減少します。なお、症状が出てから2日(48時間)以降に服用を開始した場合、十分な効果は期待できません。効果的な使用のためには用法、用量、期間(服用する日数)を守ることが重要です。

飛沫感染対策をしましょう

  1. 咳エチケットを心がけ、咳やくしゃみを他の人に向けて発しない。
  2. 咳やくしゃみが出るときはできるだけマスクをする。とっさの咳やくしゃみの際にマスクがない場合は、ティッシュや腕の内側などで口と鼻を覆い、顔を他の人に向けない。
  3. 鼻汁・痰などを含んだティッシュはすぐにゴミ箱に捨て、手のひらで咳やくしゃみを受け止めた時はすぐに手を洗う。

インフルエンザに感染した人がマスク等の飛沫感染対策を行うことがとても重要です。


インフルエンザにかかったら、どのくらいの期間外出を控えればよいのでしょうか?

目安は、発症した後(発症の翌日を1日目として)5日を経過し、
かつ、解熱した後2日を経過するまで。

一般的に、インフルエンザ発症前日から発症後3~7日間は鼻やのどからウイルスを排出するといわれています。そのためにウイルスを排出している間は、外出を控える必要があります。

排出されるウイルス量は解熱とともに減少しますが、解熱後もウイルスを排出するといわれています。排出期間の長さには個人差がありますが、咳やくしゃみ等の症状が続いている場合には、不織布製マスクを着用する等、周りの方へうつさないよう配慮しましょう。

参考までに、現在、学校保健安全法(昭和33年法律第56号)では「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては、3日)を経過するまで」をインフルエンザによる出席停止期間としています。


乳幼児におけるインフルエンザワクチンの有効性について教えて下さい。

20~60%程の発病防止効果が報告されています。

現在国内で用いられている不活化のインフルエンザワクチンは、感染を完全に阻止する効果はありませんが、インフルエンザの発病を一定程度予防することや、発病後の重症化や死亡を予防することに関しては、一定の効果があるとされています。

乳幼児のインフエルエンザワクチンの有効性に関しては、報告によって多少幅がありますが、概ね20~60%の発病防止効果があったと報告されています。また、乳幼児の重症化予防に関する有効性を示唆する報告も散見されます。

しかし、乳幼児をインフルエンザウイルスの感染から守るためには、ワクチン接種に加え、御家族や周囲の大人たちが手洗いや咳エチケットを徹底することや、流行時期は人が多く集まる場所に行かないようにすることなどで、乳幼児がインフルエンザウイルスへ曝露される機会を出来るだけ減らす工夫も大切です。