鼓膜穿孔

鼓膜穿孔

鼓膜穿孔とは鼓膜に穴が開いた状態のことで、中耳炎や、平手打ちなどで鼓膜にかかる圧力が急に上がったとき、耳かきで鼓膜までついてしまったときなどに起こります。
外傷による穿孔は自然に治ることもありますが、縮小する様子のない穿孔は手術が必要になります。鼓膜に穴が開いたままだと耳だれや難聴の症状がでます。

OtoLAM(オトラム)による鼓膜穿孔閉鎖術

当院では炭酸ガスレーザー OtoLAMでの鼓膜穿孔閉鎖手術を行なっています。
鼓膜の穴の周りをレーザーで傷つけることによって組織の再生能力を活性化させた後、穴に薬剤を詰め、穴をふさぐ治療です。

当院の鼓膜穿孔閉鎖術の特徴

  1. 短時間の日帰り外来手術

    当院では局所麻酔を使用した手術を行なっています。
    従来の治療よりも短時間で、入院の必要もありません。

  2. 切らない手術で負担が少ない

    従来の治療は皮膚切開や入院の必要があり、患者さんの身体・時間・費用にもご負担が大きいものでしたが
    当院では切らない手術を行なっておりますので、より気軽に治療を受けることができます。

鼓膜穿孔閉鎖術の流れ

局所麻酔
局所麻酔を鼓膜にだけ行います。所要時間は10分程度です。
鼓膜の穴のふちをレーザーで処置
麻酔が効いたら鼓膜にあいた穴のふちにOtoLAM(炭酸ガスレーザー)で傷をつけます。
わざと傷をつけることによって組織の再生能力を活性化させることができるためです。
鼓膜の穴をふさぐ
鼓膜の穴に薬剤をかぶせて穴を塞いで終了です。
ここまでで麻酔を含めて20分程度で終わります。
2週間後
2週間後経過観察
2週間後に経過観察のためにご来院ください。
ここでの患部の様子によって次回の来院日が決まります。1〜4週間後にまたご来院ください。

手術適応になる症状は?

以下の症状の方はこの手術が最適な治療になる場合があります。

  • 慢性中耳炎により耳垂れの症状をくり返している
  • 耳が聞こえにくい
  • 鼓膜の穴をふさぐことで、聞こえの改善が期待できる
  • 鼓膜に開いた穴がそれほど大きくない
  • 鼓膜に穴が開いているので、水が入らないように気をつけなければならない
  • 鼓膜チューブ挿入術(チュービング)の穴が、ふさがらないまま残っている
  • 鼓室の肉の盛り上がりがあまりない(適応とならない場合もあります)

どんな麻酔を使いますか?

鼓膜への局所麻酔を行います。

麻酔にかかる時間はだいたい10分程度です。
従来の治療は皮膚切開や全身麻酔・入院が必要なことが多く、患者さんの負担が大きいものでしたが
当院で行う手術は入院の必要はなく、日帰りで受けられる治療です。

手術はどのくらいかかりますか?

手術時間は麻酔を含め、およそ20分程度です。

どのくらい安静にしていればいいでしょうか?

手術後はすぐに日常生活を送っていただけます。
傷も残りません。

手術後はすぐに日常生活を送っていただけますが、鼻を強くかむこととはげしい運動は避けてください。
水泳は医師の許可があるまではお控えください。

使える薬剤に種類はありますか?

症状などによって以下の薬剤を使用します。

テルダーミス

鼓膜に開いた穴に人工真皮テルダーミスを詰め、鼓膜の再生を促します。

鼓膜穿孔治療薬「リティンパ」

鼓膜に開いた穴に薬を染み込ませた鼓膜用ゼラチンスポンジを置き、乾燥や感染を防ぐために表面を組織接着剤で閉鎖することで、鼓膜の再生を促します。
薬剤料が高額のため、窓口支払いは3割負担で約16,000円程度です。

注意事項

  • 手術後はすぐに日常生活を送っていただけますが、鼻を強くかむこととはげしい運動は避けてください。
  • 水泳は医師の許可があるまではお控えください。
  • 高層ビルのエレベーターや航空機、トンネルなど気圧の変化が激しい場所は、耳に負担がかかるおそれがありますのでお気をつけください。
  • 一度でふさがらなかった場合でも、さらに手術をすれば穴が縮小していきます。

症例見本

手術前

手術直後

手術から1ヶ月後